声に出して読みたい馬券本
- 2019/08/07
- 19:46
(『厩舎ランク』、金子京介、KKベストセラーズ、2012)
声に出して読みたい馬券本
(13-8)
章題 厩舎上昇度の算出法
この「厩舎ランク」は、
成績上位厩舎が必然的に明るい色のランクに
設定される。
よって、G1レースの場合、
出走馬はどうしても赤やオレンジといった
上位ランク厩舎ばかりとなり、
ピックアップ、取捨が難しくなるが、
この問題を解決するために、
「厩舎上昇度」という数値を使う。
厩舎上昇度
=過去4走と、今回を比べて、
「厩舎ランク」がどれだけ上昇したかを示す数値
2011年、天皇賞・秋
1位 トゥザグローリー 25.9 池江
2位 ジャガーメイル 24.8 堀
3位 ダークシャドウ 18.7 堀
4位 エイシンフラッシュ 17.2 藤原英
5位 アーネストリー 16.3 佐々木
6位 トーセンジョーダン 16.0 池江
同じ厩舎ランク「赤色」の有名厩舎でも、
池江、堀が、上昇度が高いということがわかる。
他方で、このレースを例題に選んだのには理由がある。
1番人気ブエナビスタ管理の松田博厩舎は、
厩舎ランク自体が黄色に転落して、ブエナビスタの
厩舎上昇度は全出走馬最低値であった。
この時期の松田博厩舎のネガティヴな流れをまとめると、
ブエナビスタがドバイで惨敗
↓
レーヴディソールが骨折
↓
トレンドハンターが骨折
↓
マルセリーナがスランプに陥る。
松田博厩舎は次々にアクシデントに見舞われ、
厩舎ランクを落とした上での、
天皇賞出走だったのだ。
「厩舎上昇度」は単なる数値かもしれないが、
不思議なことに、厩舎の裏側とリンクする数値なのである。
次に2011年の安田記念、
出走馬の厩舎上昇度は、
1位 ストロングリターン 22.6 堀
2位 リアルインパクト 21.1 堀
3位 シルポート 17.3 西園
4位 サンカルロ 15.8 大久保洋
5位 ライブコンサート 14.5 白井
8位 アパパネ 3.9 国枝
赤ランク厩舎は、
堀、国枝だけであり、
第3章で紹介した古馬G2戦に近い馬柱である。
トップの堀厩舎は1位と2位を独占、
他方、国枝厩舎は、厩舎上昇度が低い、
これは余談だが、
このレースの中間のアパパネは、
追切が中途半端で、絞れず、
陣営は土曜追いまで行っていた、
結果的に堀厩舎2頭のワンツーは、
できすぎかもしれないが、
リアルインパクトは3歳馬で人気薄、
しかし、赤ランク厩舎は適性や相手関係を見極めて
出走させている、
馬本位の予想では難しいかもしれないが、
厩舎単位の予想をすれば、
堀厩舎ワンツーの万馬券を的中することが可能なのだ。
雨の日も風の日も、そして雪の日も、
毎週土日、朝9時半にスタートする1Rのパドックから、
馬を見続けて10年余り、
自分の青春はすべてパドックにささげたと言っても過言ではない。
しかし、
現実は残酷だった。
すべてを犠牲にして馬見に費やした結果が、
「パドックを見ずに走る馬を見抜く方法」になろうとは。
客観的に見れば、
笑える話だろうが、本人にしてみれば、
衝撃の結末、キツイ現実だった。
自分がこれまでパドックの馬見に費やした経緯を
全て知るJRDBのスタッフは、
「厩舎ランク」にたどりついた自分をどう思って
見ているのか、
その事実を知るのは、少し怖くもある(笑)。
※少し、お休みをいただいて、
次回から、
2019年上半期(6月末まで)に
出版された馬券本の総評を行います。
転樫剛
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